ふたつの背中を抱きしめた


赤外線で送った写メを、柊くんは楽しそうにひとつひとつ見ていった。

「チビ達元気そうで良かった。」

「みんな柊くんに会いたがってたよ。」

その言葉に柊くんは嬉しそうに笑みを零した。

「お祭り、楽しそうだなぁ。」

「うん、盛り上がったよ。やっぱ子供はこういうの好きだよね。」

「…ふーん。」

柊くんは写メから目を離し、少し天井を仰いで考えていた。

「なぁ、真陽はお祭りって行ったコトある?こういうニセモノじゃなくて、ちゃんとしたヤツ。」

に、ニセモノって…。

私は思わず苦笑したけれど、柊くんが言わんとしているコトは分かった。

「町や区が開催する大きいお祭りのコト?お御輿や山車が出たり、屋台がズラーッと並ぶような。」

「そう、それ。」

「あるよ。なんで?」

「俺、行ったコトないんだ。」

そう言った柊くんに、私は少しだけ驚いた。

「え、そうなの?」

「うん。行ってみたい。」

柊くんは私を見つめて真剣に頷いた。

そっか、お祭り行ったコト無いんだ…。

私は柊くんが見せた哀しい生い立ちの一端に少し胸が痛む。

体験させてあげたいな。

あの夏の夜の独特の空気。

ワクワクする高揚感。

屋台に花火に浴衣に…何年経っても思い出す賑やかな色とりどりの風景。

きっと柊くんは気に入るだろうな。

屋台で目移りしながらはしゃいでる様子が目に浮かぶ。


---行きたいな、柊くんと。


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