ふたつの背中を抱きしめた
私の言葉に柊くんはキョトンとした顔を見せた。
「柊くん、子供の扱いがすっごく上手じゃん。あんなに子供のコト分かってあげられる人そうそういないよ!それって活かさなきゃもったいないよ。」
そう言った私に柊くんは少し黙って眉間に皺を寄せた。
「ムリだよ。ああいうのって資格いるじゃん。」
「獲ればいいんだよ。柊くんまだ全然若いんだから。」
「簡単に言うなよ。今更大学とか専門学校とか誰が金出すんだよ。」
…確かに。
養護施設の子に対する進学支援の対象は高校3年生が通常だ。
既に高校を卒業してしまった柊くんにそれは難しい。
「保育士なら、独学でも受験に受かればなれるよ。条件もあるし時間はかかるけど。」
「無茶言うなってば。独学の合格率が低いコトぐらい俺だって知ってるよ。それにどっかの施設で2年働かなきゃいけないんだっけ?
ムリ。勉強して働いて何年もかかって、って。そんな面倒なコトして今更なんになるんだよ。」
「…でも…」
尚も食い下がろうとした私に、柊くんはつまらなそうな顔を向けた。
「真陽のおせっかい。せっかく久しぶりに会ったのにそんなつまんない話すんなよ。」
「……」
踏み込み過ぎちゃったかな。
私、柊くんにそんな話出来る立場じゃないのに。
黙ってしまった私に、柊くんが近づき後ろから抱きすくめてきた。
「そんなコトよりさ、今日の写真見せて。いっぱい撮ったって言ってたじゃん。」
柊くんが話題を変えた。
これでこの話は終わり、と云うことだった。