ふたつの背中を抱きしめた
ただの夏風邪だと、お医者さんは言った。
そして、熱が高いのは疲労が溜まっているせいだとも。
「体力が落ちてるんですよ。」
その言葉を私は不思議に思いながら聞いていた。
最近は仕事もそんなに忙しくも無いし、疲れてるとは思ってなかったんだけどなぁ、と。
どちらにしろ、健康管理を怠った自分のせいでこんな事態になったのだ。
私は綜司さんと柊くんへの申し訳なさで胸がいっぱいだった。
病院から戻り私に食事を取らせ薬を飲ませてから綜司さんは会社に行った。
「なるべく早く帰るから。」
そう言って心配そうに私の頭を撫でてから。
1人静かな部屋で薬の睡魔に負ける前に、なんとか携帯に手を伸ばした。
どうしよう。
柊くん、もう出ちゃったかな。
力の入らない手で携帯を握り締め祈るようにボタンを押す。
空しいコール音が何回か聞こえ、しばらくして留守電の案内が流れた。
ダメだ 、出ない。
もう電車に乗ってるのかも知れない。
震える指と働かない頭でぎこちないメールを送り、時間を置いてもう一度電話をかけ直そうとした。
けれど、薬の副作用と高熱のひどいダルさのせいで私は強烈な睡魔に勝てず
いつしか深い眠りに落ちていた。