ふたつの背中を抱きしめた

2.愛の代価





ーーー10月。

すっかり深まった秋の夕方。


「こないだウエディングドレス試着してきたんだ。写真見る?」


相変わらず2人で寝るには小さい布団で、はみ出ないように身体を寄せ合いながら私は柊に尋ねた。


「見ない。真陽の花嫁姿なんて見たくない。俺が相手じゃないのに。」

ふん、とそっぽを向く柊が可愛くて私は狭い布団の中でぎゅうぎゅうと身体を押しつける。

「我ながら可愛いのになー。真っ白でフワフワなの。お姫様になったみたいだった。」

柊は拗ねたままの顔をこちらへ向け私の頬をブニと掴んだ。

「ちんちくりん姫。どんなに飾ったってあのノッポと並んだらちんちくりんにしか見えないぞ。」

「う…それ気にしてるのにぃ。」

「真陽はチビなんだから俺と並んだ方がお似合いだぞ。」

柊がパッと私の頬から手を離した。

「そうかもね。」

私は肩を竦めて笑って、柊にキスをした。


布団から少しはみ出した身体に

深い秋の冷たい空気を感じる。

私が純白の花嫁になるまで


あと、2ヶ月。


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