ふたつの背中を抱きしめた



初めての出勤からションボリ帰ってきた私を、綜司さんは優しく慰めてくれた。

「綜司さーん。私、ちょっと自信無くなった。社会人って大変なのね。」

優しい綜司さんにどっぷりと甘えて、私は今日受けたダメージを癒す。

もたれかかった私の頭をよしよしと撫でながら

「真陽なら大丈夫だよ。自信持ちなよ。」

綜司さんは穏やかに微笑んでそう言ってくれた。


ああ、綜司さんの胸って落ち着くな。

この人に抱かれていると本当に安心する。

言葉や存在だけでも癒されるけれど

やっぱり温もりって、肌が触れ合うって、大事なんだ。


そんな温もりを与えてくれる存在が居る事に私は心から感謝し

そして、何故だかふと


柊くんにも、そんな人がいるのだろうか、と


そんな事を

私は綜司さんの胸の中で考えてしまった。




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