ふたつの背中を抱きしめた




もどかしい思いを抱えながらも、私は結局翌日も柊くんの顔を見るコトは出来なかった。

柊くんがボランティアに来なかったからじゃない。私のシフトが公休だったからだ。


今日は柊くんはぬくもり園に来ただろうか。

気に掛かりつつも私は出掛けるための支度を整えた。


今日の私は休日を利用して綜司さんの実家に行かなければならない。

結婚式に招くお客さんのコトで相談があるからだ。

本当なら綜司さんと2人で行くべきなんだけど、なかなか義父様と綜司さんの休みの都合が合わず、やむを得ず私だけが本日行くコトとなった。

けれども
いわゆる義実家に1人で行くコトが私は全くイヤでは無かった。

なぜなら、義母様も義父様も私にとても優しかったからだ。


婚約の報告と挨拶に義実家を伺うまで、私は正直かなり心配をしていた。


綜司さんの実家は地元の名士だ。

義父様は区の議員だし当然家はお金持ちで私なんかとは住む世界が違う。

子供の頃はお隣同士だからよく一緒に遊んでいたけれど、今思えば義母様はあまりいい顔をしてなかった気がする。

子供の頃から習い事で忙しかった綜司さんの後を追っ掛けてまとわりついてたのだから当たり前かもしれないが。


そんな記憶も相まって、私は平凡過ぎる自分が名門の浅葉家の一員になるコトをご両親が快諾してくれるとはとても思え無いでいた。


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