ふたつの背中を抱きしめた


ドンッと、後ろから勢いよくぶつかられた衝撃でひっくり返った私の視界は

一瞬の暗転のあと、柊くんの顔を間近に捉えていた。


「…いってー…」


目の前に、苦痛に歪む柊くんの顔がある。


私も倒れた時に頭をぶつけた気がするが、目の前の光景にそんな痛みなど吹っ飛んでしまった。


ほんの数センチ先に、柊くんの顔がある。

倒れてる私の体に、柊くんの体が重なっている。


これは、事故。

偶発的な、事故。


でも、さすがにこれは…。

衝撃と痛みにつむっていた眼を、柊くんがパッと開いた。

当然、数センチ真下にいる私と目が合う。


「……ぇっ…」

状況を理解した柊くんが小さく驚きの声をあげた。



「しゅ、柊くん、どいて…重いよ」


私は目を反らし、体を捩った。


どうしよう、こんなの。

なんか、凄く気まずい。


妙な緊張感に心臓の音が加速していく。

激しい雨音と雷の音が外から聞こえる。

ほんの数秒の時間がとてつもなく長く感じる。



柊くんどいて、お願いだから早く。



私は腕に力をこめて柊くんの体を押しながら上体を起こした。



「柊くんってば、お願いだからどい…て……」


自分の声が、かぼそく雨音に消えていった。


彼の体を押していたはずの手は絡めとられ


気が付くと私は



そのまま柊くんの腕の中に抱きすくめられていた。



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