ふたつの背中を抱きしめた




「…柊くん…

私、婚約者のコト裏切れない…」




それは、
柊くんを、奈落の底へ突き落とすコトバ------


私は

自分が堕ちるのが嫌で


柊くんを、奈落の底へ突き落とす。


卑怯に。


残酷に。


近付いて来てた柊くんの顔が、ぴたりと止まる。


信じられない、と言う表情が浮かび

それはやがて、私へか、はたまた自分へか、嘲笑に変わり


そして最後に
哀しみに歪ませて、俯いた。


夕日に染まった部屋に訪れる沈黙。


掴まれていた手を離そうとした時

その沈黙は破られた。



「……真陽……」



かぼそく、私を呼ぶ声に。


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