【続】私は彼氏がキライです!?
いつもはアツに送ってもらうこの道を、今日は反対方向に歩く。
もう空気はすっかり冬の匂いで私の心をより切なくさせた。
俯いて歩く私の手を引いて、アツは近くの公園に入った。
まだ夕方の5時だっていうのに、辺りは暗くて元気に遊ぶ子供の姿もない。
「何黙り込んでんだよ?」
私をブランコに座らせると、アツは正面にしゃがみ込んだ。
手を伸ばして、アツの首に腕を回す。
温かくて、安心する匂い。
「今すぐ結婚したい。アツのお嫁さんになりたいよぉ・・・」
懐かしい写真を見たせいかな?すごく昔の出来事をふと思い出した。
子供の頃、たまたま入ったおもちゃ屋さんですごく可愛いお人形を見つけた。
お母さんは誕生日まで我慢してね?って言ったのに、私はどうしても欲しくて、おもちゃ屋さんの前から動かなかった。
駄々をこねて、大声で泣き叫んで、お母さんを困らせて。
その日から毎日の様に買って買ってーっ!!ってお母さんの後ろを着いて回った。
1週間後、仕事から帰って来たお父さんが、きれいに包まれた箱をくれたんだ。
わくわくしながら箱を開けると、ずっと欲しかったあのお人形。
ワガママを言えば手には入る・・・。
私はあの頃とちっとも変わってない。
アツにプロポーズされるまでは結婚はまだもう少し先なんだって、毎日会えなくても、触れられなくても我慢する事が出来たのに。
手の届きそうな所にそれがあるんだと知ってしまうと途端に我慢が出来なくなる。
なぜダメなのか?
本当はその理由がいくつも頭に思い浮かんでいるのに、手に入れたくて、諦められなくて、知らないフリをする。
「ごめん。俺がガキだから、まだ認めてもらえなかった」
私の背中を撫でるアツの手が、あまりにも優しくて、ポロポロと涙が流れだした。
「アツ・・・ごめんね?せっかく頑張ってくれたのに・・・ごめんねぇ・・・」
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