総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜
『ぅ…嘘だッ』
「本当だよ」
反射的に出た否定の言葉すらすぐに打ち消され、私はパニックになる。
同時に脳裏に浮かんだのは、2年前の忌まわしい記憶。
血まみれになって力無く倒れた大輔の身体と、その身体を抱きしめて大声で泣き喚く、私の姿――…
『だ……ダメだっ!』
思い出した瞬間、私は大輔の胸倉を掴んで強く首を振った。
(嘘だ。嘘だ)
心の中で、必死に叫び続ける。
いま言われた言葉が、信じられなくて。
いや信じたく、なくて。
けれど……
「―――離せよ」
現実は、どこまでも残酷だった。