総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜
『貧相、だぁ……?』
「あ、あぁ。そうだ、貧相だ。だから、他の奴らには身体を見られないようにパーカーか何か…」
耳を赤くしながら、そっぽを向いて早口で何かを呟く雷河。
けれど、怒りに震える私にそんな声が聞こえるはずもなく――…
『そこはせめて【スレンダー】とか言うところだろボケェ!』
怒声と共に、気合い一閃。
私は筋肉質な雷河の背中に手を置くと、前方へ力いっぱい突き飛ばした。
「うわっ!?」
突然の事に驚いた雷河が、落ちた先――プールの中でジタバタと暴れる。
私はそんな雷河に背を向けると、視界の隅で爆笑している大輔を軽く睨みながら、ウォータースライダーの方へと歩き出した。
『雷河の、馬鹿っ!』
―――青い青い、空の下。
今日も今日とて、
総長様はご機嫌ナナメ。
完