笑う門にはオレ様がきた!!
また、この人はなんでもかんでも
ストレートに聞いてくるよね…。


「ええ、まぁ
和(なごむ)さんからではないですけど…」


「どおりでだ。
水族館であった時より
明らかに嫌悪感でてる。」


げっ、バレてる。


「す、すいません…」


と、一応、謝っとくべきよね。


「特に気にしてないから良いよ。
それにホントの事だしね。」  


肩を竦めながら須磨さんが言う。


「だけど、オレさ
今でもあの人が創る世界観
すごく好きだよ。
あの水族館だって
やっぱりオレの原点だと今でも思ってる。
まぁ、一緒に仕事することは
二度とないだろうけど…」


と、少し寂しそうな目をする
須磨さん。


「だったらどうして?
あんな酷いこと…」


思わず口にしてしまう。


「だよな。
酷いことしたと思ってる。
何の知識も経歴もないオレに
和さんはたくさんの事を教えてれた。
だからオレもそれに応えたくて
がむしゃらにがんばったんだ。
和さんが仕事しやすいように
出来る限りのサポートをした。

そんなオレに対して
和さんも信頼してくれているのが
充分、解ってた。
だけどある時ふと思ったんだ。
オレはこの人のコピーになっていないか?
って」


「コピー…ですか?」


「そっ、和さんのコピーね。
だからこのまま和さんの側に
いるだけじゃ、オレはこの人の事
一生越えられないって
そう、思ったんだ。」


とても、真っ直ぐな偽りのない
目をして須磨さんが言った。





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