笑う門にはオレ様がきた!!
「玄関入って右奥の部屋好きに使えよ。」


甚平姿の師匠に言われて
さっそく、今日寝る場所だけでも
確保せねばと部屋に向かう。


てっきり和室かと思いきや
普通にフローリングの洋室だった。


少し、ホッとする。


しかも驚いたのが
結構な広さで学生の頃から
ずっと住んでいた部屋よりも
まだ広いくらいだった。


おまけに何と憧れの
ウォークインクローゼット付だ。


ベッドや僅かな家具も
引っ越し業者が設置してくれていたので
予想してたよりは
比較的スムーズに片付けれた。


もともと物をたくさん置かない主義だしね。


段ボール箱を一つ一つ開けて
テンポよく片付けていると…


ザ・和室のリビングから
師匠の声がするので急いで行くとーーー


リビングの真ん中にある
大きな丸いちゃぶ台の上に
引っ越し蕎麦が用意されていた。


「引っ越し蕎麦…」


師匠が出前を頼んでくれたらしい。


「今日だけだぞ、
明日からはお前が作れ。
メシくらい、作れるんだろうな?」


「は、はいっ。」


なんだぁ
口は相当悪いけど
結構、良いとこあるじゃん。


ぶっきらぼうな優しさに
ついつい顔がほころぶ。


「ったく、ヘラヘラするんじゃねぇーよ。
とっとと、食いやがれっつーの。」


前言撤回!


「す、すいません…すぐ、食べます!」


とは言え…………やはり私は
こぼれそうになる笑顔とともに
お蕎麦を慌ててすいこんだ。



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