笑う門にはオレ様がきた!!
「へぇ…オレにはない発想だな」


「!!」


とっさのことで
息が止まりそうだった。


いや、止まった。


やっとの事でゆっくり振り返り


声の主を確認する。


そこにいたのはーーー






「し、師匠…」


師匠は勝手に部屋に入っていた私を
怒ることもなく


「オレさぁ、魚は結構描くけど
人魚は描かねぇなぁ。」


といって床に座る私の隣に来て
クロッキー帳を覗きこむ。


「す、すいません
私、勝手に仕事場に入って…
その上、絵まで描いてしまって…
なんて、言ったらいいのやら…。」


どうしよう…


さすがにまずいよね。


仕事部屋に勝手に入るなんて。


「だな
勝手に入るのは良くないよな。
ただ師匠の仕事に興味を持つのは悪くない。」


と言って私の頭をくしゃくしゃっと
撫でながら笑った顔が
すごく優しかったから


あまりにも
あまりにも
撫でてもらった手の温もりが
伝わってきたから…


ダメだよ
私、師匠に普通にドキドキしてるよ。


だって、私は師匠にとってーーー














ただの弟子なんだから……。













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