レス彼 〜私の彼氏はセックスレス〜
「さ。お風呂へ行こうね」
すっぽんぽんの私の頭をぽんぽんと叩いて、篤彦は自分の服を脱ぎ出した。
もしかしたら今日はナニカに発展できるかもしれない、そんな淡い期待がふと湧き上がり、自ら抱きついた私の小さな希望は、やはり、私の予想を裏切ることなく見事にスルーされた。
少しだけ期待して盛り上がっていた私の気持ちを沈めるのに、そう時間はかからなかった。
だが、今日の私は何か諦めが悪かった。
一緒にお風呂に入っている間も、なにか悶々と沸きあがる自分の欲情を抑えることができず、篤彦にそれとなくサインを送りつづける。
「あゆみ…」
「ん?」
「どした?」
「え?…べつに…」
篤彦が私の変化に気がついた。
これはチャンスかもしれない。
もしかしたら、今日は私のサインに答えてくれるかもしれない!
そんな思いが段々自分の中で大きくなってきた。今まで私が出してきたサインを拾ったことはほとんどない。セックスして欲しいと、直接的な表現やボディタッチはとてもできないが、男と女の間でしか流せない微妙な空気感を出し続けていたのが功を奏したのだろうか。
篤彦が、その私の微妙な態度の違いを突いてくることなんて、しばらく見たことが無い。
もしかしたら…
もしかしたらだけど…、今日は通じたんだろうか?
そんな期待が膨らんでいた。
だが。