愛し愛されて。




「…奈々悪かった。」



え?今謝った?



「しつこくしてごめん。」



「…ねぇ。」



この人なら知っている
かもしれない。



「ん?」


「私…何があったの?」



彼が黙り込んでしまった。



「ねぇ、…何か知ってるんでしょ?事故にあってからみんなの態度が…お願い。教えて。」


「分かった…」



深呼吸をして
ゆっくり話し出した。



「奈々は事故にあっただろ?そのとき頭強く打って、事故の後遺症かなんかで少し記憶障害がでたんだ。」


「記憶障害?」



記憶を失ったってこと?



「あぁ。奈々の周りにいるやつは全員奈々の知ってるやつだよ」



うそ…教室にいる人
知らない人いた。



「そ、そんなはずないよ。クラス替えとかしたんじゃないの?」


「違う。奈々が覚えてないだけなんだ。」



私が。
覚えてないだけ。



「じゃあ、もしかして、夏川さんって子も私の知り合いだったの?」



私の後ろの席の子だ
初対面だと思っていた子。



「夏川さん?あ、後ろのやつか。」


「うん。」


「前に、奈々と楽しそうに話してんの、見たことある。」



夏川さんと友達だったんだ…

なのに私…



「う、うそ。私夏川さんに酷いことしちゃった…。」



初対面なんか言って
自己紹介までした。



「私、最低だ…」



夏川さんにもみんなにも。



「…仕方ねぇんだよ。それに最低なんかじゃねぇ。」



谷田部くんが言った。

そういえば…



「あ、谷田部くんは?」


「え?」


「谷田部くんは何で私といるの?私とそんなに仲良かった?」



私が分からなくても
谷田部くんのとこにきた。

だったら…


「それは…」



谷田部くんが
黙り込んだ。



「谷田部くん?」


「いや、俺のことはいい。じゃあ、俺教室戻る。」



行ってしまった。




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