フクロウの声
六、新撰組
新撰組が屯所とする京都西本願寺まで、
マオリは山崎に連れられた来た。

この町には古い神社仏閣が多数存在する。

夜に土方の命で仕事に赴く以外は
たまのおかみの使いを除いて有松で過ごしてきたマオリにとって、
明るい太陽の下で堂々としたたたずまいの寺は圧倒的で、
ぽかんと見上げていた。

「ほな、俺はここまでや。」
 
短く発せられた山崎の言葉に、
マオリは慌てて山崎を振り返る。
 
薬売り姿の山崎は屯所の入り口までマオリを送り届けると、
さっさと去って行った。
 
新撰組に入るにあたって、
マオリにも予備知識が必要だと判断した山崎は
新撰組の組織について教えた。

「ええか、新撰組の組織について説明するで。
 まずはわれを拾った土方さんや。
 土方さんは新撰組の副長ちゅう地位についとる、
 その上には近藤勇さん。
 この人が局長や。」

「あの、沖田という人は。」
 
早口で次々と説明をする山崎にマオリはたずねた。

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