フクロウの声
八、仲村織之助
刻一刻と、沖田に死が近づいているのは明らかだった。
 
この頃、新撰組の本隊は伏見に入り、
伏見奉行所で新たな戦いの局面を迎えようとしていた。
 
そんな中で事件は起こった。

「きゃああっ」
 
近藤の妾であるこの家の女主人、
孝子の悲鳴が響いた。
 
マオリは与えられた自室でその声を聞いた。
すぐさま白い鞘の刀を手にとり廊下に出た。

「沖田総司はどこだ!」
 
男数名の怒鳴り声が聞こえる。
 
マオリは狭い家屋の中で反響する怒声を頼りに駆けてゆく。
声の数を数える。
 
三人か。
 
庭から縁側に足をかけている男を見つけると、
マオリはいっきに刀を抜いた。

「何者だ!」
 
突然抜刀して現れたマオリに、男たちの視線は集中した。
マオリはちらりと孝子に目をやり、
腰を抜かして震えている姿を確認した。

「私は新撰組一番隊、仲村だ。」
 
男たちの凄まじい怒りの気迫が向けられた刀から発せられる。

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