フクロウの声
マオリは男物の着物に袖を通した。
土方が用意させたものだった。
朱色に白の文様が入っており、
これから戦闘に向かうにはあまりにも洒落た意匠だとマオリは思った。
しかし、小柄で色の白いマオリには実によく似合う色でもある。
袴を履いた。
こちらは濃紺で武骨な印象を受けた。
脛に脚絆をつけ、
新撰組の隊服である浅黄色に白のダンダラの模様の入った羽織を着込み、
マオリは立ち上がった。
何度血を浴びても、
一拭きで輝きが舞い戻る白い鞘の刀を手にとった。
金色の鍔が今日も美しい。
マオリはその美しさを祈るように見つめるとすっと腰に差し、
部屋を出た。
冬の寒さが増している。
今が一番冷え込む時期だろう。
時が来れば春になるのだろうか。
空にはどんよりとした雲が垂れ込めている。
マオリは廊下を進み、一角で立ち止まった。
部屋の中の気配を確かめるように耳をそばだて、口を開いた。
「沖田さん、行って参ります。」
部屋からの返事はなかった。
マオリはしばし目を閉じて、返答を待ったが、
かすかに衣擦れの音がして沖田が寝返りを打ったのを察して歩き出した。
土方が用意させたものだった。
朱色に白の文様が入っており、
これから戦闘に向かうにはあまりにも洒落た意匠だとマオリは思った。
しかし、小柄で色の白いマオリには実によく似合う色でもある。
袴を履いた。
こちらは濃紺で武骨な印象を受けた。
脛に脚絆をつけ、
新撰組の隊服である浅黄色に白のダンダラの模様の入った羽織を着込み、
マオリは立ち上がった。
何度血を浴びても、
一拭きで輝きが舞い戻る白い鞘の刀を手にとった。
金色の鍔が今日も美しい。
マオリはその美しさを祈るように見つめるとすっと腰に差し、
部屋を出た。
冬の寒さが増している。
今が一番冷え込む時期だろう。
時が来れば春になるのだろうか。
空にはどんよりとした雲が垂れ込めている。
マオリは廊下を進み、一角で立ち止まった。
部屋の中の気配を確かめるように耳をそばだて、口を開いた。
「沖田さん、行って参ります。」
部屋からの返事はなかった。
マオリはしばし目を閉じて、返答を待ったが、
かすかに衣擦れの音がして沖田が寝返りを打ったのを察して歩き出した。