オオカミヤローに捕らわれて
我が弟が吹雪の両手をギュッと握ったのを見た途端、何かが切れた気がした。


触んじゃねぇ、優牙……


ソイツは…オレのなんだよ!!


バンッ!!


テーブルに片手を叩きつけて、無言でイスから立ち上がった。


目の前にいる優牙と吹雪は、驚いて固まっている。


「「と、統牙様、どうなさいました?」」


「退け、吉良、荻窪」


駆け寄って来たメイド2名にいつもより低い声で命令して、吹雪達に近づいた。


オレが近くに来る度に、吹雪の顔色が青ざめて行っている風に見える。


優牙は口を開けて、ポカン…としていた。
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