ヴァージニティー
「おい、鷹宮!」

クラスメイトから名前を呼ばれて、朝人はビックリした。

「お前、姉ちゃんから何か聞いてねーか?

好きな人がいるとか」

“好きな人”。

その言葉を聞いたとたん、自分の心の中にどす黒い何かが流れ出したことに気づいた。

別に、姉に好きな人ができようができまいが自分には関係のないことである。

「…いや、特に」

首を横に振って答えた朝人に、
「そう」

クラスメイトはそれだけ返しただけだった。

それから彼らは何もなかったかのようにトランプをやり始めた。
< 25 / 103 >

この作品をシェア

pagetop