ヴァージニティー

「――好きだよ、あっちゃん」

そう言った夕子に朝人はプッと吹き出した。

「ちょっと、何？」

恥ずかしそうに顔を赤らめながら反論をする夕子に、
「いや、セックスの後に“あっちゃん”はないだろうと思って」

朝人は言った。

「でも、あっちゃんはあっちゃんでしょ？」

それはごもっともだが。

夕子が朝人の胸にすり寄ってきた。

「あたし、あっちゃんがいるからすごく幸せだよ」

「うん」

「あっちゃんがいれば、あたしは幸せだよ」

「わかってる」

返事をした後、朝人は夕子の肩を抱きしめた。