想い綴り
「お前ら、こんなとこで寒くね~の?」
カタンと揺れるガラス戸
ちょっと気まずいこの空気に気がついてないのか
そのままベランダへと降りてくる藤本。
さっきまで…
女の子と笑ってたくせに…
なんでこんなときに出てくるのよ…
あからさまにただならぬこの空気
うつむくしかないあたしに気が付いたのは、
「とりあえず、考えてみて?」
そう肩を叩く稲本くん。
フッと柔らかく笑うと、そのままリビングへと戻って行った。
後に残るのは
藤本との間に流れる変な沈黙…
その空気に耐えかねて、リビングへと戻ろうとした時
「…高崎、買い出し行くから付き合って」
振り向きざまに見えたのは
ちょっとだけ切なげな優しい笑顔だった。