寮は、1人1部屋。
さすが金持ち高校。
……でも、それがせめてもの救い、かぁ。

私の部屋は……1216号室……あった。
入ってみると……

「ふぅん、普通の部屋だな。」

風呂、トイレ、キッチン、家具……ちゃんと揃ってる。

「そうか?
 狭苦しい部屋だと思うけど……。」

「……お前、誰だ?」

気付けば、開きっぱなしだったドアの辺りに人が立っている。
少しパーマのかかった真っ黒な髪にに、グレーの瞳が印象的。
身長はさほど私とかわらないだろう。

「俺?
 鎚田 晴秋(Tsuchida Haruaki)。
 晴秋って長いから、ハルって呼べ。
 お前のお隣さん。
 1217号室ね、よろしく。
 んで、お前は?」

なんとも偉そうなヤツ。

「ハル、な。よろしく。
 俺はえぃ……っと、水沢 湊。」

危ない、私はもう"永村"じゃないんだった。

「湊なっ!
 多分、俺等クラス一緒だな!」

「……あぁ。」

クラスは部屋の番号でだいたい分かるようになっている。

「湊、反対の部屋は……もう誰かいるな。
 行ってみるか?」

「別に、いいんじゃない。」

「よし、いくぞ!」

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