いつか見る青
『ええ。ですが、紫坊っちゃんの事はお気になさらずとも大丈夫だと思いますよ。もう成人している男性ですからね。門限などはありませんし、その日によってお帰りの時間がまちまちなんです』


私の言わんとする事が伝わったのか、民さんは解説した。


『普段から「待っていられると落ち着かないから食事は先に済ませてしまって良い」と言われておりますので』


「そうですか……。じゃあ、お願いします」


チラリと腕時計を確認したら、時刻は夜の6時半だった。


未来君はお客様なんだからあんまり夕飯が遅くなるのもマズイよね、と判断し、そう返答した。


『かしこまりました。それでは食堂までお越し下さいませ』


私は受話器を置き『ふ~』と息をつく。


会社やホテルでもないのに、同じ屋根の下にいながら電話で用件を伝えるなんて、これまた新たなカルチャーショックだった。


でもまぁ考えてみたら、そうせざるを得ないんだけどね。


まさか大声で「ご飯できたよー!」なんて怒鳴る訳にはいかないだろうし、こんな大きなお屋敷じゃそもそも聞こえないかもしれない。
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