いつか見る青
戸惑いつつも、神崎さんの言葉に従い車外に出る。


トランクから荷物を取り出していると、玄関のドアが開いて、一人の女性が姿を現した。


きっとここの家政婦さんだろう。


前もって、神崎さんから話は聞いていた。


すごいベテランさんで、70歳は過ぎているという話だけれど、ピンと背筋を伸ばした立ち方が美しく、とてもそこまでのご年配の方には見えなかった。


「民さんこんにちは。こちらが葵さんですよ」


「まぁ……」


神崎さんが紹介したとたん、民さんは両手で口を押さえて私をじっと見つめてきた。


「瑠璃ちゃんにそっくりだわ……」


そして、サッと私達に近づくと、3つあった荷物のうち、一番大きいスポーツバッグを手に取った。


「あ、私が自分で持ちますよ」


「良いんですよ。民は力持ちなんですから。長旅お疲れでしょう?」


運転していたのは神崎さんで、私は横に乗ってただけだから、別に疲れてなんかいなかったんだけど……。


民さんは玄関に入り、靴を脱いでスリッパに履きかえるまでの私の一連の動きを、横でニコニコしながら見守っていた。
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