いつか見る青
くすぐったいような恥ずかしいような気持ちもあるにはあったけど、民さんの優しい瞳に見つめられるのは、決して嫌じゃなかった。


初めて会ったのに、何だかすごく懐かしい感じがする。


「あ、紫坊ちゃん」


玄関ホールを進み、階段の下に差し掛かったところで、ふいに、民さんが頭上を見上げながら言葉を発した。


「葵さんがただ今、お着きになりましたよ」


私は彼女につられて、同じ場所に視線を向ける。


その瞬間、胸の鼓動が跳ね上がった。


踊り場で、手摺りに手をかけ、階下を見下ろし佇む男性。


小さい時から繰り返し写真で見てきた、若き日のお父ちゃんと、瓜二つの顔をしていた。


神崎さんから聞いていた、5歳違いの私の叔父さん。


つまりお父ちゃんの、だいぶ歳の離れた弟さんという事だ。



だけど……。



叔父と姪の、感動すべき、初対面の瞬間なのに。


お父ちゃんと、そっくり同じ顔をしているのに。


お父ちゃんとは、似ても似つかない

見る者を凍りつかせるような暗く、冷たい瞳で



叔父さんはただじっと、私のことを見下ろしていたのだった。
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