いつか見る青
「ええ、もちろん」


ニッコリと微笑みながら、神崎さんは続けた。


「瑠璃さんは住み込みでお仕事なさっていましたからね。たびたびお見かけしましたし、お話もしましたよ」


そうか…。


だから初めて会った時神崎さん、あんなに懐かしそうにお母ちゃんの名前を呼んだんだ。


「瑠璃さんはとても明るく朗らかで、優しい人で、僕も友達もみんな大好きでした」


「人気があったのはお子さんだけではなかったんですよ」


民さんが何かを思い出したように『ふふ』と笑った。


「お習字教室は曜日と時間帯によっては社会人の方もいましたから。瑠璃ちゃん、男性の生徒さん達に良く話し掛けられてましたよ」


「…そうなんですか?」


「ええ。あの子は器量良しで気立ても良かったですもんね。ただ、奥様が変な風に発展しないようにさりげなく気を配ってましたけど。瑠璃ちゃん本人はお客様に声をかけられたら無視する訳にはいきませんしね」


お母ちゃんて、モテたんだ。


器量良しってのは顔が良いってことだよね。


何かそういう話って、娘の私としては照れちゃうな。
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