いつか見る青
おじいちゃんは意外とあっさり神崎さんの申し出を受けた。


「そうですね~。神崎さんが一緒なら安心ですよね」


民さんもニコニコしながら私に視線を向ける。


「そういう訳で、私の案内で良いですか?葵さん」


「あ、はい。もちろんです。むしろ、すごくありがたいです」


神崎さんが改めて問い掛けて来たので、私は慌てて返事した。


……本当にそうなのかな?


何となく、神崎さんの事だから、私達に余計な気を使わせないようにそういう言い方をしたんじゃないだろうかと思う。


見るからに対人慣れしている神崎さんなら、どういう場所だろうが、どういう相手だろうが、躊躇せずその輪の中に入り込んで行って、すんなり溶け込んでしまいそうだけど。


そして多分おじいちゃんも民さんもその事は感づいている。


だけど、あえて納得のいった振りをし、余計な口を挟むのは控えようと思ったんじゃなかろうか。


神崎さんの心遣いを、無駄にしてはいけないと。


そして神崎さんも、二人が感づいた事を感づいていそうな気がする。
< 89 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop