××倶楽部

「最近、僕すこし変なんですよ……」

「変ですか? 社長は全然変じゃないですよ」


 社長は首を左右に振ってメガネを外すと、手でこめかみをグッとおさえた。


「町田さんは変になる前の僕を知らないんですよ。 というのも町田さんがここに来てから僕は少し変になってきたんです」


 社長の言いたいことの意味がわからない。


「以前なら、リオさんのわがままだって、ミーナさんのストレートな感情だって僕は平気な顔して受け止めていたんです。それが普通だったから……でも、町田さんを見てると」


 社長はそこで言葉を区切りメガネを元に戻すと、じっと私を見つめてきた。私は金縛りにあったように動けなくなる。うるさい心臓はどこかに消えてしまった。

 メガネの奥の綺麗な瞳に見つめられて、目がはなせない。



「町田さんを見てると、変な気持ちになります。健気で謙虚で、可愛い……普通の女の子って、こういうものなんだって。

 僕はずっと女王様気質の女性に囲まれて生きてきましたけど、本当は一度でいいから女性を支配したい。多分、言いなりになるのは本当の自分じゃないと思ってます」



 金縛りがとけた時には、社長が私の目の前にいた。



「しゃ、社長…………」





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