××倶楽部
「あ、町田さん。今日は早めにあがってくださいね。昨日の分の残業手当てもしっかりだしますから」
「はい。でも社長も疲れてませんか? 看病って大変ですよね」
無言でパソコンを長時間叩き続けたせいで凝りかたまった背筋を、うーん、と伸ばす。
社長はもっと窮屈そうに首をぐるりと、またため息を吐き出した。
「町田さんは優しいですね……」
憂いを帯びたような声に静まっていたはずの心臓が踊りだす。
「そんなことないですよ……私なんか、何の役にもたちませんし口ばかり心配するようなこと言っててすみません……」
社長が長い指を物憂げに組んでその上に顎を置くと、踊りだした心臓が飛び跳ねてどっかに行ってしまいそうになる。
なんてセクシーなんだろう……疲れてちょっと弱々しい瞳に堅く閉ざされた唇。寝癖はさっきからずっとそのままで、メガネには長めの前髪がそっとかかる。
ごくりと喉を鳴らしてしまった。社長に聞こえてませんように……。