××倶楽部

「しゃちょ…………」


 支配された喜びで体が震える。これが本物なんだ。遠くから見ているだけの恋じゃなく、現実味ある相手との本物。


「もう一度していいですか?」


 私と社長、二人分の重みがかかった椅子はカタンと悲鳴をあげた。


「はい……何度でもしてください」


 消え入りそうな声だけど、たしかに自分が発した声。


────これがキス……


 唇が重なりあって、社長の冷たい唇が徐々に熱を帯びていく。唇、それから……それから……うわ、何? 何これ?


「…………んっ?」


「逃がしませんよ……」


 社長の手と唇は優しく私を支配する。自分の舌と社長の舌がもつれて絡み合い、これはキスなのか、キスじゃないのか……自分が社長に何をされているのかわからない。


「卑怯だな……ウブすぎるのに敏感で」


 誉められたのか貶されたのかわからなくて、涙腺に涙がたまっていく。


 支配される。もう逃げ出せない。


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