××倶楽部

 そのお見舞いの品のいくつかは、この部屋に持ち込まれたようで笑ってイイともで芸能人に贈られるような花籠がいくつも置いてある。


「ふふ、嬉しいわ」


 リオ様が社長のジャージから細い手を出し、苺を受け取ってくれた。


「芽依ちゃんまだ時間あるなら、一緒にたべましょう」


「はい!」


 そう思って少し早めに出勤してきたんだ。リオ様とゆっくり話をしてみたかったから。作戦成功! とリオ様に見えないところでガッツポーズを作る。

 これでリオ様と社長の関係を探れる!


「聖夜と私の関係のことも気になるんでしょう? ね、芽依ちゃん」


 だけど全てお見通しされているらしく、ふふふ、と笑われた。

 うっ……気まずい……



「あ、いえいえ! リオ様と社長が恋人なんじゃないかとか、そんなこと私は全然気にしてませんし! 風邪ひいて社長の部屋で社長のジャージ着てリオ様がいらっしゃっても、それは自然の成り行きと言いますか……お二人はなんだかお似合いだな……ていうか……私は全然…………」


 私、欲張りすぎなの? 社長とキスしただけなのに、リオ様のこと気になるなんて百年はやいかな?

 私なんてまだ社長と知り合ったばかりで、リオ様はずっと昔から社長を知っていて…………それに社長は誰とでもキスするような人。


 でも、もしかして自分だけはちょっと違うんじゃないかって……もしかしたら、もしかしたら、って期待してみたり。


 だけど、リオ様は当然のように社長の部屋にいるわけだし、ってことは昨夜もその前の夜もずっと同じ部屋で夜を過ごしてるわけで……



 
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