××倶楽部

 スタッフルームの隅に設置されているミニキッチンで顔をざばざばと洗い、シャツのボタンをとめて、ネクタイを締め直した社長はさっぱりとした顔でメガネを元の位置に戻す。


「さて、仕事ですけど、今日は女王様たちのお給料計算をしてもらいます」


「はい、わかりました」


 自分の席に座る。その後ろに社長が立つ。


「杏仁豆腐食べてください。せっかくミーナさんがくれたんですから、食べながら説明きいてくれていいですよ」


「いえ、でも……」 


「杏仁豆腐お嫌いですか?」


 社長が悲しそうな顔をした。


「いえ、大好きです。じゃ遠慮なくいただきます!」


 悲しそうな顔が嬉しそうな顔になる。ころころとかわる表情豊かな社長に振り回されながら計算ソフトを起動させた。



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