××倶楽部


 数回のコールで、社長に繋がる。


『はい、もしもし』


「社長! あの、いま、スミレ様がぁ……スミレ様がぁ……」


『どうかしました? 芽依、落ち着いて』


 ちゃんと説明しなきゃいけないのに、心配と恐怖でうまく言葉にならない。それを聞いていた典が私の携帯を奪う。


「もしもし、俺いま芽依と一緒にいたんだけど三丁目交差点付近でスミレとかいう女が黒いセダンに乗せられて連れていかれた。…………ああ、そうだな、とにかくどこかで落ち合おう」


 典は眉間にシワを寄せて、私を見下ろす。

 いつだって、典は頼りになるけど……このことはマーベラスの問題だから典を巻き込むわけにはいかないのに…………


「ああ、いいよ……じゃ、今から行く。役立たずボディーガードもいるけど……わかった。連れてく」


 典は携帯を切ると、それを投げてよこした。


「とりあえず、マーベラスで社長が待ってるって言ってた。芽依、行くぞ。ここから近いんだってな。案内しろ」


「ええ? の、典も行くの?」


 典はしれっとした態度で、また私を見下ろしてきた。


「じゃ、おまえ、さっきの黒塗りの車のナンバー覚えてるのか?」


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