××倶楽部

「典が、悪いんだからね……」


 典が返事をしてくれないから独り言になってしまった。クリスマスで浮かれた街並みを過ぎて、住宅街の中にある我が家に到着。

 いつもは帰ってきてホッとするのに、今日はうんと居心地が悪い。



 暗い玄関で電気をつけて、リビングのドアを開こうとすると、芽依の部屋に行こう、と典に手を掴まれた。


「わ、ちょっと、典!」


 階段を二段飛ばしてのぼる典に引きずられながら、寒い部屋に入った。


「そ、そんなに焦んないでよ! 何か暖かいものでも飲みながら……あ! そうだケーキ買ってきてあるんだ! 今、用意……」


「ケーキより先にやることあるだろ?」


 暖房のスイッチを入れた典は、ダッフルコートを脱ぐと乱暴にネクタイを引き抜いて私を睨みつける。


「約束だからな、今日から解禁。俺がどんなにこの日を待ちわびてたか芽依にはわからないだろうけどな。まず、待ってとヤメテは、禁句。いいな?」


「ひぇ……っ!」


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