××倶楽部

『─────はじめまして、社長の草原聖夜(くさはら せいや)です。緊張されてますか? いや、実は僕も朝から緊張しちゃってて』

 話は数ヶ月前にさかのぼる。私がまだ就活していた時だ。

 社長が直々に面接をするなんて普通じゃない。

 だけど、待ち合わせしていた喫茶店に、スーツ姿のままショルダーバックをかけてマウンテンバイクで登場した若い社長に不覚にもドキドキと胸が高鳴った。

 面接に対するドキドキとは別のドキドキだ。

 こんな人が社長をしている会社なら間違いない。と気合いを入れなおしたのも事実だ。


 喫茶店でアメリカンコーヒーを二つ注文して、履歴書を差し出した。

 彼は、にこにこ顔を少し真面目にして履歴書を食い入るように見つめた。


『エクセルは問題ないですよね? 会計ソフトはうちは税理士事務所オリジナルのものを使ってるんですけど、多分すぐに慣れます。僕が責任もって教えますね』


 前向きな言葉に大きく頷く。


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