××倶楽部
瞳を閉じた。肩に社長の手が置かれる。
心臓の位置が胸のどの辺りにあるかはっきりわかるくらい激しく脈打つ。
私、嫌いじゃない。
誰とでも、キスする(されている?)ような人だけど…………私、社長のことが……
「なぁーんて!」
私の震える唇に触れたのは、社長の人差し指だ。
「そんな身構えられたらできませんよ。僕はどちらかというと性的思考はサディストだけど、悪人じゃありません。
町田さんの大切なファーストキスは奪えません」
社長はその指先で私の下唇をすっとなぞると、自分の唇に押し当てた。
こ、この状況で、この雰囲気で、キスしてもらえないなんて、そっちの方がよっぽどサディストらしい。
か、覚悟決めたのに!
社長にならファーストキスを奪ってもらってもいいと思った。
「やっぱり、面倒くさいですか?」
声が裏返った。何気なく訊いてるみようと思ったのに、作戦失敗。こういうのが処女の面倒くさいとこだって典なら笑うはず。