××倶楽部


「町田さん、そんな怯えた顔しないでください。震えたカモシカみたいですよ?」


 だって、訳も分からずこんなに顔の綺麗な人がすぐ近くにいたら震えちゃう。


「この世界の人間は、サディストとマゾヒストの二種類に必ず分類されるって僕は思うんです。

 それは持って生まれた質で、完全なるサディストと完全なるマゾヒストがいて惹かれ合う。

 暴露してしまえば僕はね、どちらかというと……」

 

 サディストなんですよ、と耳元で、うんと低く声音を変えて囁かれ。一瞬で両手首を押さえつけられ、社長の唇が目の前に迫る。


 なんて、綺麗なピンク色の薄い唇……と見とれてしまって体が動かない。


 キス……このままされちゃう?


 だけど、怖くなんかなかった。


 多分、相手が相手だからだ。





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