××倶楽部
────「って、社長の住んでる部屋ってマーベラスの上の階だったんですか?」
「ったりまえだろ、社長なんだからさ。このビルは全部聖夜がオヤジさんから貰ったもんなんだよ!」
「へーっ」
スタッフ専用の出入り口から外に出て、自転車置き場のすぐ脇の階段をあがると居住用のマンションだ。
ちゃんと、草原、って表札も出てる。全然気がつかなかった。
玄関には紫と黄色のパンジーが鉢植えされていて、それが何だか社長らしくて笑えた。
ミーナ様がチャイムを押す。茶色い箱の向こう側からピンポーンと機械音が聞こえた。
「多分、リオもいると思う」
ミーナ様は、むっとした顔で唇を尖らせると落ち着きなさそうに腕を組んで人差し指を小刻みに動かした。
「こんな深夜に訪問して迷惑じゃないですか?」
「はあ? この街はまだこれからが稼ぎ時なんだよ! 見てみろ」
たしかに、バルコニーから外は怪しいネオンが輝く夜の街。人通りもあるし、酔っ払いや、ホストや、ホステスが行ったり来たりしている。