~ Sweet Chocolate ~
喫茶 COCOA
阪急電車に乗り、梅田を目指す。
車内は人で溢れ、冷房も効いてない状態のまま終点の梅田に到着した。

「やっぱ、人多いなー。知り合い居っても気付かんレベルやで、これ」
「けどな、楓ちゃん。もしかしたら、ラブセに逢えるかもやで」
「今日も松竹公演在るやろ?」
「今日は、休演日やから梅田に居るかも知らん!」

目を輝かせながら話す咲良を、横目に裏路地へと繋がる道を歩く。
後ろから、パタパタと駆け寄って来る足音が多い。
多い…?何でや?裏道は咲良しか知らん筈やのに、確実に足音の数が一人分ではない。
足を止め、恐る恐る振り返れば、走って来る咲良と咲良を追う男の大群。

「はぁ?咲良、何これ!?」
「良いから、走って!COCOA向かってー」

息を切らしながらも必死に話す咲良を見て、訳も解らんまま走る。
目を離した一瞬の間に何が起きたんやろか。
走りながら脳内で処理するも、処理なんて出来ず、取り敢えず言われた通りに走る事にした。
暫く走れば、喫茶 COCOAの文字が見え、扉を思いっきり開く。
振り返れば、咲良と6人の男が息を切らし、ハーハー言ってる訳で。

「そんな走って来て、どないしたん?取り敢えず、中入って水でも飲んで涼んで。」
「葵ちゃん、御免。僕も訳解らん状態で走って来たから。」
「ほいほい、ええから。あんたも休み。暑い中走って疲れたやろ」

葵ちゃんの優しさを受け取り、ふかふかのソファーに座る。
渡された水を一気に流し込み、状況把握に取り掛かる。

「取り敢えず、咲良。説明をしなさい。」
「駅前で、人集りが出来てて変やなー思って見てみたら、ラブセがファンの子に捕まってたんよ。で、余りにしつこそうやったから、大機君の腕引っ張って走ったって訳。」

ちょーっと、待った。今、何て言った?
ラブセが捕まってたから、引っ張って来た…?

「はっ?ラブセ?」

俯いてる6人が一斉に顔を上げる。

「どーも。Love Sexです。」

何が、どないなっとん?
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