甘い唐辛子
今まさに、自分がシンデレラのように、自分に不釣り合いな綺麗な靴を履こうと右足を出していて、その絵や晃の顔や、維十の顔が頭をよぎった。
あぁ…
そうか。
私はバカなシンデレラ。
硝子の靴は維十…
自分には、維十は綺麗すぎる。輝きすぎる。
私と維十では不釣り合い。
維十にはもっと、似合うような人の傍にいてほしい。
私は身のほど知らずなオンボロ服を着た、諦めの悪いただのバカ。
久々に鼻で笑った。
自分で自分を鼻で笑った。
出した足はそのまま引き、地面へと落とした。
今の私の格好は舞踏会へ行く、一夜限りの特別。
似合いもしないのに無理しちゃって、魔法使いに顔まで変えてもらって、ドレスに似合う顔にした。
そんなの、なんの意味もない。
綺麗な訳、ない。