甘い唐辛子
Side:イト
親父に呼ばれて行ったら、やけに高いブランドのスーツを渡された。「あの子の恥になるなよ」という言葉を添えられて。
俺はその場でスーツに着替え、部屋に戻ることにした。
青一色のネクタイを締め、有名ブランドの腕時計をした。
普段着ない高級スーツで身動きしにくくなり、廊下がいつもより長く感じた。
……霞澄は今、何をしているだろうか…
ヒマになった脳みそは自然にそれを想像し出した。
あのドレスに着替えてるだろうか。アクセサリーは似合うだろうか。
あ…
靴は俺の部屋にある…
気づいただろうか?
俺は少しだけ足のスピードを速め、自分の部屋に向かった。