甘い唐辛子

靴を霞澄の部屋に持って行こうと決め、勢いよくドアを開けると、ドレスに着替えた霞澄の後ろ姿があった。

一瞬、母親の後ろ姿に見えて、口から言葉が出なかった。


直ぐにハッとして、今来たかのように声をかける。と言っても、今更だとはわかっていた。


でも、霞澄は反応しない…

いつも反応が薄いが、こうも無いとさすがに心配になる。


とりあえず、顔色を伺う為に近づくことにした。


俺が6歩進んだところで、霞澄は長い黒髪とドレスの裾をなびかせて、振り返った。


言葉を失った…

あまりの美しさに
あまりの可愛さに


心の中で、感動にも似た感情が動き出した。

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