甘い唐辛子
「霞澄…?」
裾を掴んだまま何も言わない、動かない私を心配したのか、維十は私の顔を覗き込んだ。
一瞬目を見開いたが、すぐに真剣な顔をして私の目を見る維十にかける言葉も見つからなくて、私はただ維十の目を見つめ返した。
維十は暫く黙って私の目を見つめていたが、やがてゆっくりと口を開くと
「次、どこに行く?」
柔らかい笑顔で極自然と訊いてきた。
私は一瞬何を言っているのかわからず、反応が遅れたが、とりあえず「適当に」とだけ応えておいた。
維十は頷いて、私の右手をとった。
維十の大きな手で包まれた私の右手は、熱をもっていて…
ドキドキと煩い心臓が嫌になりつつ、維十とのこの時間が長く続けばと、願った。