甘い唐辛子



私立古裕学園、その高等部に通っている。
2‐Bと示されている教室の扉を開けた瞬間、一部の男子を除いて皆が黙る。
もう慣れたものだ。
皆が俺のことを恐れているのも、その理由も知っているから、特におかしくは思わない。


「おぉ、維十、おはよう!」
「海堂。今日は放課後、何する?」
「ナンパ行かねぇ?維十がいればほぼ100%だし。」

口々に話しかけてくるこの2人は、教室に入る時に黙らなかった一部の男子。

こいつらとは幼稚園からの付き合いだから、俺のことを恐れることもない。

俺のことを『海堂』と呼ぶのは、齋藤 海(サイトウ ウミ)といい、学年トップの頭を持っている。
『維十』と呼ぶのは、松本 希波矢(マツモト キハヤ)。バカで調子者。

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