甘い唐辛子
「…壺…」
「壺?」
「わざわざ買ったのか?」
「あぁ。みたいだな。」
霞澄はため息を吐いて目を伏せた。
「こんなに金かけないでほしかった。」
「嫌か?」
「高級品に囲まれるのは、あまり好かない。」
霞澄は微妙に眉を下げて、悲しそうな顔をした。
「じゃあ、部屋を変えるか?」
「いや、わざわざ用意したんだ。変える訳には…」
「じゃあ、俺の部屋を使うか?」
俺は無意識に凄いことを言っていた……
「え…いや、普段の時だけ…な?」
「助かるよ、ありがとう。」
慌てる俺に、霞澄は穏やかな声調で俺を落ち着かせた。