甘い唐辛子

海堂の家には、2匹の犬がいる方の庭と落ち着いた中庭がある。

私はヒマになったから、中庭に行ってみることにした。

中庭に行くのは初めてだ。正直、あまりこの家の構図もわからない。でも中庭は、家の中心にあると知っていた。

中庭に着くまでに、時間はかからなかった。

まだ寒いのに、バラの華が咲いていた。
小さな池もあり、木製のベンチもあった。

藤成の家とは違う、洋風の庭は心を落ち着けてくれた。


「お嬢!あ!こちらでしたか!」

目を閉じ、風を感じているとヤスさんの声が、後ろから静かな庭に響いた。


ゆっくりと目を開けて振り返ると、ヤスさんの笑顔があった。


「若が、今夜は外食にするとおっしゃってました。用意ができたら、部屋に迎えに行くと…」

「わかった。ありがとう。」


それを聞いて、この頃は和食ばかり食べていたから、たまには洋食も食べたくなった。

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