甘い唐辛子
私は20分で準備を終え、維十の部屋で迎えを待っていた。
今思うと、維十の部屋には本が多い。
雑誌では無く、小説ばかりが本棚に並んでいる。
中には有名な作家の小説や、全く知らない作家の小説もあった。
それの内1冊を手に取ろうとした時、部屋のドアが開いた。
そこには維十でも、ヤスさんでもなく、前に会った維十の友達の内、黒髪の方の人がいた。
「あ、こんにちは。」
「こんにちは。」
普通に挨拶をしてきたその人は、そのまま停止した。
「海、霞澄いなかったか?」
海と呼ばれたその人の後ろから、さっきのスーツをきっちりと着こなした維十が来た。
維十の隣には維十の友達のもう1人がいて、私と目が合った瞬間、パァッという音が聞こえてくるような、キラキラとした笑顔を向けてきた。