甘い唐辛子
「すんません、未緒さん…」
「霞澄ちゃん、惚れたの?維十に。」
「いえ、とくには。」
…結構、ショックなんですが。
霞澄がキッパリと言った答に、項垂れる俺と笑顔になる未緒さん。
霞澄は俺達のお冷やが無くなったのを確認して、カウンター内に入り、お冷やの用意を始めた。
「オーナー、バイト辞めます。家業の方を頑張りますので。」
「え!?」
「私の家、裏世界の仕事してるんで…いろいろ大変なんです。」
「……わかった。」
寂しそうな顔をした未緒さんは、また奥に戻り、10分後には料理が乗った皿を持ってきた。
食べてる間、楽しそうに話している海達と違い、俺だけ未緒さんの視線を痛い程受けていた。